「谷間のゆり」を読んで(ネタバレあり)
バルザック作の「谷間のゆり」を読みました。
どんな作品かを物凄く簡潔に説明すると、恋愛もの(不倫)です。
文学小説に多い王道のジャンルですね 笑。
不幸な生い立ちの青年貴族フェリックスが伯爵夫人にプラトニックな恋愛感情を持つが、肉欲には勝てず違う女性に手を出してしまい、なんやかんやで悲しい結末を迎える、といった感じのストーリーです。
悲しい結末と書きましたが、そうなった原因は全て主人公にあり、読者としては悲劇に酔っている感がある主人公にモヤモヤとしたものがあるんですよね。
その辺を最後に解消してくれる仕掛けがあるのですが、それが非常に良く出来ていて、流石に長い期間読まれている名作だなと感じました。
訳者の後書きによると、フェリックスの造形にはバルザックの体験も大きく反映されているようなので、自身の過去の恋愛の後悔や罪悪感がああいう仕掛けを生んだのかもしれません。
長い情景描写が多く中だるみするところも少しありましたが、面白い作品でした。