日の名残りを読んで
どんな感じの話かといいますと、イギリスの老執事が自身の「執事人生」を回想して語る物語です。
感想ですが、面白かったですねぇ。
イシグロ氏の本は「わたしを離さないで」を以前読んだことがありまして、そちらも面白かったですが凄く哀しい話でした。読んだあと暫くへこむくらい 笑。
その点、日の名残りは読後感も良く(多少切ないですが)、良い小説を読んだなぁという満足感と余韻が心地よかったです。
具体的にどんなところが面白かったかというと、老執事の語りが独特で良かったです。
なんといいますか、この執事は本心を隠したりごまかしたりしてるんですよね。
物腰が柔らかく口調も凄く丁寧でまさに英国紳士って感じなんですが、読者に対して嘘つきなんです 笑。
一般的に、小説での主人公の心理描写は細かい部分まで描かれたり、感情も正確に描かれることが多いと思います。
それがこの小説は全然そうじゃないんです。例えば、行動自体はある女性に恋をしているように見えるのに、その部分に関して執事は言及を避けていたりします。
そうやって内面を隠す技法がキャラクターのリアリティを増し、物語に特別の深みを出しているのでしょうね。
ボリュームも長すぎず短すぎず、イシグロ氏の文体も柔らかく読みやすいので、普段小説をあまり読まない方にもオススメです。
うーん。面白かった(リフレイン)。